ゆめのあと

に綴る文は星々のさんざめく日々

大津留厚『ハプスブルク帝国(世界史リブレット30)』の感想

大津留厚『ハプスブルク帝国(世界史リブレット30)』
山川出版社、1996年

 

オーストリアハンガリー二重帝国(アウスグライヒ体制)の入門書。「ハプスブルク帝国」と名を冠してますが、ほとんどが二重帝国時代にページが割かれています。
ハプスブルク帝国史の中でも、特に二重帝国時代を知りたい場合には入門書として適切かと。政治、経済、民族問題についての概要に触れることができます。
アウスグライヒ体制と構造については、おそらく大津留氏の解説が1番わかりやすいです。

オーストリア側に組み込まれたボヘミアチェコ)についても言語令を中心に書かれているため、どちらかというとオーストリア側の記述が多い印象。でもハンガリー側についてもきちんとページが割かれています。南スラヴ方面は少なめなので他の本で補完した方がいいかもしれません。
アウスグライヒ体制の構造についてより踏み込んで知りたい場合は、同著者の本・論文がおすすめです。

ハプスブルクの実験:多文化共存を目指して』春風社、2007年
ハプスブルク帝国――アウスグライヒ体制の論理・構造・展開」本村浚ニ、鶴間和幸編『岩波講座 世界歴史 五 帝国と支配――古代の遺産』岩波書店、1998年

 

 

ハプスブルク帝国 (世界史リブレット)

ハプスブルク帝国 (世界史リブレット)

 

 

 

ハプスブルクの実験―多文化共存を目指して

ハプスブルクの実験―多文化共存を目指して

 

 

 

岩波講座 世界歴史〈5〉帝国と支配―古代の遺産